平成17年1月26日
平成17年1月議会 合併賛成討論
市民クラブの中道です。私は、笠原町との合併に関する議第1号 多治見市及び土岐郡笠原町の廃置分合について、議第2号 多治見市及び土岐郡笠原町の廃置分合に伴う財産処分に関する協議について、議第3号 多治見市及び土岐郡笠原町の廃置分合に伴う議会の議員及び農業委員会の委員の経過措置に関する協議について、議第4号 多治見市及び土岐郡笠原町の廃置分合に伴う地域審議会の設置に関する協議について、賛成の討論を行ないます。
この合併が実現することによって、多治見市は財政上で想定される最悪のケースを回避することができます。その意味で私は、合併協定書の調印にまで漕ぎ着けられた多治見市と笠原町の合併協議会委員、そして協議を支え続けられた事務局、及び関係者、市民・住民各位のご努力に感謝を申し上げます。
今回の合併は、多治見市と笠原町の両者に大きなメリットをもたらします。合併協議会が作成した住民説明会の資料編によれば、合併後10年間で国や県から合併特例債を初めとする約307億円の財政的支援を受けることができます。
また、合併しない時と比較して見た場合、普通交付税の算定替や一本算定、及び合併特例債の償還金等を考慮した平成42年までの25年間の財政シュミレーションによれば、合併による純然たる財政上のメリットは約237億円に上ります。
これら財政上のメリットは、新市建設計画の実現に注ぎ込まれます。計画はハードとソフトの整備計画からなりますが、「両市町の長期計画の実現を目指す」としたため、特に目新しいものはありません。その意味で計画は新鮮味には欠けますが、合併しないと実現できないハードやソフトが数多く含まれています。
私は、この度の合併を単に財政の悪化を食い止める効果としてだけに留めるものではなく、目前に控えた地方分権、少子高齢化、情報化、グローバル化に適合する「創造都市」建設の契機にしたいと捉えています。
この「創造都市」は、イギリスのランドリーが提唱したものであります。佐々木雅幸の定義によれば、創造都市とは、市民の創造活動の自由な発揮に基づき、創造性に富んだ文化と産業が構築され、同時に脱大量生産の革新的で柔軟な都市経済システムを備え、グローバルな環境問題やローカルな地域社会の課題に対しても、創造的問題解決策が実施できる、そのような「創造の場」に富んだ都市、と定義付けています。
このような創造都市を建設するため、今後行政は、新市建設計画のソフトとハードを実現する過程で、様々な「創造の場」を作っていただきたいし、また私自身も作って行きたいと考えています。
この場合、懸念されるものとして私が考えるものは、議第4号の「地域審議会の設置」です。地域審議会は、市長に対し新市建設計画の変更や執行状況について答申することを初め、その他の意見を述べることができます。新市建設計画は合併協定書によって担保されているため、よほどの前提条件と情勢の変化がない限り変更されることはないと予想されます。
しかし地域審議会の設置によって、山岸俊男が指摘する所謂「社会的ジレンマ」が生まれ、結果としてハーディンが懸念する「コモンズの悲劇」が起こらないとも限りません。そうなれば、西寺市長が公約した「持続可能な地域社会」の実現も不可能となってしまいます。このような「コモンズの悲劇」を回避するためには、首長のリーダシップが不可欠です。
以上の事柄を指摘すると共に、この度の合併を大きな契機として、「創造都市」の建設を要望しつつ、私の賛成討論を終わります。