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平成16年9月議会 一般質問原稿

9月議会一般質問

 おはようございます。市民クラブの中道でございます。本日はオリベネットワークでテレビ中継がされており、沢山の市民も傍聴されていると思いますので、質問に入ります前に、少し時間をいただき、市民の皆様にお知らせとお願いがあります。 ご承知のように、今年の1月25日、多治見市は3市1町合併に関する投票方式の住民意向調査を実施しました。その結果は、多治見市民が大差で3市1町の合併を拒否し、合併は破綻しました。一方、市議会議員24名のうち過半数の15名は、合併を実現させるために連日活動していましたし、市長を初めとする執行部も合併しなければならないと、切実に考えていました。つまり多治見市と市議会の過半数が、合併に賛成していたにもかかわらず、市民が合併を否決されたため、結果として、行政側の意向と市民の意向がねじれてしまった、という形になりました。

市民の皆さん。市長も市議会議員も市民の代表です。その代表と民意が異なってしまったのです。何故そのようなことになったのかを、ここで述べる時間はありませんが、市議会から皆さんへの情報発信の仕方や、議員の説明責任を果たす方法に、大きな問題があったと反省せざるを得ません。また一方で、合併を実現させるための、活動を通じて感じたことは、将来の市民生活に直結する、これほど重要な問題に、市民の皆様も、もっと積極的に関心を持っていただきたい、という思いでありました。
市議会は市民の皆様に開かれています。今このように市議会の本会議はテレビで生中継されていますし、会議の議事録はインターネットで公開されています。本会議はもちろん各種委員会も市民の傍聴が可能です。また市民の皆様が説明に来いとおっしゃった場合、そして市議会へお越し下さった場合、私はいずれも誠心誠意の説明責任を果たす所存でおります。
 市民の皆様、どうかこれを期に、市議会に関心をお寄せ下さい。私たちは、市民の皆様と市議会がより密接な連携を図りつつ、より良い多治見市を構築したいと、切に願っております。

 それでは、私の市政一般質問を行います。質問の内容は事前に執行部にお知らせしていますが、市民の皆様にも分かりやすくするために、説明を加えながら質問を行います。ただし時間の制約がありますので、行政用語を使いますが、その点はご容赦をお願い申し上げます。
 質問は大きく3つあります。1番目は「新処分場の位置を決めた根拠は、科学技術的知見からか、それとも政治的判断なのか」、2番目は「5次総・後期計画は、現状を維持することを目的とした計画なのか」、3番目は「(仮)自治体基本条例・要綱(案)は、二元代表制を考慮していないのではないか」、の3つです。以下、それぞれ順番に質問を行います。

 まず、「新処分場の位置を決めた根拠は、科学技術的知見からか、それとも政治的判断からか」、という質問を行いますが、これは私が平成8年から取り組んでいる、次期最終処分場の位置を決めるという課題です。私はこの問題に取り組み始めてから8年が経過し、この間に12回の一般質問を行いました。しかし、この問題もいよいよ大詰めを迎えています。私の質問も、昨年の統一地方選挙前の、3月議会に行った限りなので、この問題の経緯を、簡単に整理しながら質問を行いたいと思います。 最終処分場を大畑に建設するという決定に対し、私が平成8年12月議会で指摘したことは、次の3点です。@地元住民に知らせずに、事業を進めた方法に問題がある。A最終処分場の位置を大畑に決めたという「適地調査報告書」に問題がある。B中学校と住宅団地の近傍に建設する、大規模な一般廃棄物処分場は、生活環境を破壊する、の3点でありました。 その後、執行部は住民の指摘を受けて、事業の進め方を改善し、市議会の皆様のご協力も頂きながら、平成4年に実施した適地調査の可否を検討する、「適地調査検討委員会」を設置しました。委員会は地元住民と専門学者で構成され、約1年間、様々な角度から、実に精力的に検討を続け、結果として、前回実施された適地調査は妥当ではなかった、という結論を出しました。
 次に、その結論を受けて、多治見市に所縁のない専門学者からなる「新処分場選定委員会」が設置され、ゼロから処分場位置の選定作業が開始されました。この委員会は処分場の位置を決定することを目的として、約2年半の間に、22回の会議を開催し、平成14年3月に最終報告書を市長に提出しましたが、候補地を1箇所に絞り込むことをしませんでした。委員会の結論は、3箇所の候補地に対し、4つの評価項目の重要度を変えることによって、候補地の優先順位が変化するというものです。そして候補地を1箇所に絞り込むためには、市民が政治的に評価項目の重要度を決めることだ、とされました。
 私は、こうした委員会のほとんど全てを傍聴し、経過を把握しました。そして、新処分場選定委員会が傍聴者にも発言が許可されていましたので、私は次のような発言をいたしました。委員会が処分場の候補地を、1箇所に絞らないと決める前に、是非ともこの委員会で候補地を、1箇所に絞って欲しい。それが委員会の役目だ、と申し上げました。その時の委員長の答弁は、最終的な候補地は行政の責任者が決定すべきであり、市民や政治が、それを判断することである、と述べられました。 この委員長の答弁を受けて、私は3市1町の合併を目前に控えていた、平成15年の3月議会で、西寺市長は早急に処分場の候補地を決定し、市長選挙で信を問うべきだと詰め寄りました。しかし西寺市長は処分場問題が、市長選挙の争点となることを避け、候補地の決定を6月まで延期しました。その後6月26日に、市議会・全員協議会で候補地を、大畑に決定したことを公表し、9月初旬に、地元住民に対する説明会を開催されました。 2回に及ぶ地元説明会で出された住民の意見は、およそ次のようなものです。処分場は多治見市にとって必要不可欠のものであり、地元住民は地域エゴを通すつもりはありません。大畑が最適だとする科学的な説明に、納得できればいつでも協力いたします。しかし、どのような根拠を基に、3箇所の候補地から大畑に絞り込んだのかの説明は、科学的ではないし、論理的でもなく、納得が行きません。少なくとも決定に至るまでの過程での調査が、決定的に不足していると指摘いたしました。そのことを受けて執行部は、12月議会で、旭ヶ丘の候補地に対する、ボーリング調査等の補正予算を提案いたしました。しかし市議会は、「一旦決定した候補地以外での調査は混乱を引き起こす」と指摘し、この補正予算を認めませんでした。

私は候補地を大畑に決定する前に、この調査を行うべきだったと考えています。これまでの候補地選定作業が、住民にも高く評価されていただけに、最後の詰めの段階での、執行部のミスは悔やまれてなりません。画竜点晴を欠くとは、この事かも知れません。 いずれにしても、その後、候補地である大畑で自然環境調査が行われ、その中間報告会が今年の6月に開催されました。しかし、住民から中間報告そのものの不備が大量に指摘され、不信感を募らせた住民と、執行部の距離は縮まらず、現在に至っています。
 以上が新処分場選定作業のあらましですが、住民は一貫して「処分場の位置は、科学技術的知見を根拠として、客観的に決めよ」と主張しています。しかしながら執行部が大畑に決定した根拠は、科学技術的でもなければ、客観的でもありません。科学技術的根拠を求めようとした調査は、市議会が拒否しました。しかも市議会が許可した大畑での調査は、絶滅危惧種のオオタカの飛翔が発見されるという、候補地として妥当とは言えない結果さえ出ています。一方、この8年間の執行部のご努力により、処分場の規模は大幅に縮小されました。形式もクローズドシステムに変更したことによって、8年前に私が指摘した3つの問題点、すなわち事業の進め方、選定方法、及び生活環境破壊等の問題点は、大幅に改善される結果をたどりました。
 そこで、私は次のように考えています。処分場の位置を科学技術的知見に基づいて客観的に決定しようとすると、相対的に比較検討する必要がありますので、旭ヶ丘や三之倉の候補地に対しても、調査が必要ということになります。しかし、そうは言っても市議会によって、その道が閉ざされた以上、候補地を大畑と決定するためには、もはや政治的な判断しかないのではないか。そして、仮に政治的な判断を必要とするのならば、どのようなものが判断の根拠となり得るのか、私はそこが知りたいのであります。

 以上の事柄を動機として、質問を行います。

まず、旭ヶ丘の候補地ですが、過去の土地利用に欠陥があり、これを根拠として旭ヶ丘を候補地から除外していますが、この欠陥は土木技術的に対策が可能です。したがって、この欠陥は今回の位置決定の根拠にはならないのではないでしょうか。また、欠陥を土木技術的に解決しようとすると、地質調査を行って対策工法の検討と経済比較が必要ですが、執行部はその作業を行っていません。したがって執行部は、調査や技術的検討及び経済比較が不十分なままに、位置を決定されたのではないでしょうか。
 次に、大畑の候補地ですが、2月に実施された自然環境調査で絶滅危惧種のオオタカとハイタカの飛翔が確認されました。大畑で処分場を建設し稼動することは、絶滅危惧種を保護する観点から、余り適した行為とは言えないのではないでしょうか。また、事前にチャンとした自然環境調査を実施していれば、そのような事は分かったはずであり、やはり調査が不十分なままに、位置を決定されたのではないでしょうか。
 3つ目は、同様に自然環境保全の立場から、処分場は市街地調整区域の大畑よりも、準工業地域の旭ヶ丘の方が、適しているのではないでしょうか。
 4つ目は、前述したように住民は、「処分場の位置は、科学技術的知見を根拠として、客観的に決定せよ」と一貫して主張しています。今一度、住民が納得できる位置決定の科学技術的根拠を教えて下さい。
 5つ目は、前述したように仮に、位置決定が政治的判断であるとするのならば、その判断の根拠は、何に由来するのかを、教えて下さい。




 次に、大きく2つ目の質問を行います。題目は「5次総・後期計画は、現状を維持することを目的とした計画なのか」であります。第5次・多治見市総合計画の後期計画は、この12月議会に提案され審議される予定です。過去の経験から、市議会に上程された議案の審議では、計画の体系を保つために部分的な修正しかできません。そこで私は、この9月議会で意見を申し上げます。
 私は平成12年の12月議会において、5次総の全体計画を慎重に審査した結果、5次総に反対いたしました。その根拠は、以下の10点であります。@計画の根幹を成す住民自治システムの記述がないなど、計画の内容に不備がある。A計画は執行部側の実績主義であり、市民の立場に立った成果主義ではない。B各種事務事業には、普通事業、重要事業、新規事業の区別がなく、各事業の長期や短期の区分、及び優先順位の基準も示されていない。またC、これまでの4次総に対する十分な総括がありません。D他の類似団体都市と比較した多治見市の現状分析もありません。E市民参加を目的とした計画にもかかわらず、策定に参加した78名の委員のうち、公募の委員はたった3名であり、実質的な市民参加による計画と言えません。F計画の将来像は、市民3,000人に対して行った市民意識調査結果と整合していません。さらにG、計画は自治体として果たすべき使命と、多治見市の目指すべき将来像が、区別されておらず、期間を限定した数値目標がありません。H政策体系と戦略的施策の区別がなく、自治体が持つ人、物、金、情報の経営資源を駆使した具体的なプログラムがありません。I自治体の行政評価には、政策評価と執行評価、及び事務事業評価の3つがありますが、それぞれを実行するという計画になっていません。

私は平成12年の12月議会の討論で、以上10点の根拠を示しつつ5次総に反対いたしました。今でも、その基本的な立場は変わっていません。そのような中で、今年の8月5日に執行部は、5次総の改訂版として「基本構想案」、つまり5次総の後期計画を公表されました。 後期計画は当初のスケジュール通りに策定されたものですが、当初の全体計画の時点とは社会的条件が大きく変化しましたので、大幅に見直されました。社会的条件の変化とは、少子高齢化社会の進行が予想以上に早く、生産年齢人口の減少が著しいことと、国の財政状況が予想以上に悪く、国からの地方交付税等が著しく減少したこと、などであります。 このため執行部は、財政状況が大幅に悪化する中で、市民サービス水準の低下、または受益者負担の増加が避けられないことから、市民と行政の役割分担を明確にして、協働によるまちづくりを進めつつ、拡大主義ではなく「持続可能な地域社会」を目指し、行財政改革を重視した計画を策定しています。
 つまり、この計画は一言で言いますと「縮小均衡の計画」であります。私は財政状況が著しく悪化する中で、計画を縮小均衡させることは止むを得ない措置だと思います。しかしながら、財政が縮小均衡する中でも、私は少しでも市民の生活が量と質において豊かになり、かつ私たちの子孫に、つまり次世代に、より良い社会資本と政治の仕組みを残して行く責務があると考えています。

 私は今年の6月議会において、西寺市長が市長選挙で公約された「持続可能な地域社会」の問題点を徹底的に洗い出しました。私が考えるに、本来提唱されるべき「持続可能な地域社会」とは、住民参加を期待した縮小均衡の自治体の姿などではありません。繰り返しになりますが、財政が悪化する中でも市民生活の量と質の向上を目指しつつ、次世代に、今よりもより良い社会資本と政治のシステムを、引き渡す努力を、し続けることです。 そのような観点から後期計画を照査いたしますと、様々な問題点が浮かび上がってきます。今回の質問でも、さほど重要ではない内容や、細部の問題点は指摘しません。以上に述べた観点から、いくつかの質問を行います。

 まず、前期計画の総括について質問いたします。今年の5月6日に公表された5次総後期計画のための「討議課題集」、つまり「前期4年間の評価と後期計画検討のための論点整理」は、視点別進捗状況として、総数421事業を、前倒しで進行中の事業と、計画通りの事業、遅れている事業、後期の展望事業、の5つに区分しています。それぞれの区分の定義が曖昧で良く分からないところがありますが、執行部は全体の目標の何%程度を達成したと考えておられるのでしょうか。
 次に、この視点別進捗状況で、総数421事業のうち、計画を前倒しして進行中の事業と計画通りの事業の合計数は297事業で、その進捗率は70.5%でした。しかし、その内訳を視点別に見ますと、「構想実現のために」が83%と最も高く、「賑わいや活力を創り出すまちづくり」が59%と最も低い進捗率でした。私は縮小均衡財政を少しでも改善するためには、6つの視点別項目のうちで、この「賑わいや活力を創り出すまちづくり」の視点が、最も重要だと考えていますが、何故、この項目の進捗率が最も低いのでしょうか。教えて下さい。
 3つ目は、前回の反対討論の時に指摘しましたが、前期の総括は、事業を「やった」、「やらなかった」という実績主義の事務事業評価であって、例えば交通渋滞が何%改善されたというような、市民が求める成果主義による行政評価、もう少し具体的に言うと、執行評価と政策評価には、なっていないのではないかと考えますが、見解をお聞かせ下さい。
 4つ目は、自治体の事務事業の定義に関する問題です。私は地方自治体には3段階の事務事業があると考えています。1つは国が国民に保障した基本的人権にかかるナショナル・ミニマムの行政サービスです。2つ目は人口10万人の都市に相応しいシビル・ミニマムの行政サービスです。3番目が他の10万都市と異なった特色のある多治見市、つまりローカル・オプティマムとしての行政サービスです。
 これら3段階の事務事業は、全て優先順位が異なるものと思われますが、計画は全て均一に取り扱われており、何が国の法定受託事務なのか、何が多治見市独自の自治事務なのかが不明です。少なくとも計画は、10万都市としてのシビル・ミニマムのミッション、つまり使命と、多治見らしさを創造する夢の部分のビジョン、つまり将来像に区分しないと実質的な総括はできないと考えていますが、執行部はどのように考えておられるのでしょうか。

次に、今回の後期計画の内容について、質問いたします。

@ 今年の2月、非営利の政策集団である「構想日本」は、「多治見市の事業仕分け作業について」という報告書を、多治見市に提出しています。報告書は、多治見市が現在実施している事務事業について、「本当に必要か否か」、「その事業は本来、国、県、自治体、民間の、誰が行うべきものなのか」の仕分け作業を行い、明らかにしたものです。その後の4月、市の企画課は「構想日本」の仕分け基準に従って、独自に仕分けした結果を公表しています。それによれば、総数874事業のうち、多治見市が行うべきものが464事業で53%、不要な事業が205事業で24%、国の事業が98で11%、県の事業が15で2%、民間の事業が93で11%でありました。 すなわち「構想日本」の基準を用いて、多治見市自身が事業の仕分けを行ったところ、現在実施している事業のうちの24%が不要であり、11%が民間で実施すべきものという結果になりました。つまり多治見市が実施しなくても良い事業が35%もあるということです。
そこでお尋ねいたしますが、財政悪化が進行する中での今回の仕分け作業結果によって、後期計画は、どのような事業をスクラップしたのかを教えて下さい。

A 昨年の7月に、2,000人の市民を対象にした市民意識調査が実施されました。これは近年毎年実施されているもので、その結果が今年の1月に公表されました。毎年同様な項目が市民に対して質問されており、回答も同様な傾向が継続しています。今回の調査結果の特徴は、「今後特に力を入れて欲しい施策」として、第1位の「交通渋滞の解消」が57%と、2位の「市民負担の軽減」の32%を大きく引き離し、群を抜いて多いことです。 「交通渋滞の解消」への要望は、毎年トップクラスを占めています。そこでお尋ねしたいことは、これだけ要望の多い事業に対して、後期計画は予算の上で、どのような措置をされたのでしょうか。教えて下さい。
B 5次総のキャッチフレーズは、「市民の鼓動が響くまち」であり、市民参加は5次総の基調を担うものです。しかし前述した市民意識調査では、「今後特に力を入れて欲しい施策」の中で、「市民参加」は35項目うち31位であり、市民の要望としては、最も低い部類に属します。5次総・後期計画において、キャッチフレーズの「市民参加」と、市民要望の少ない「市民参加」のズレを、どのように整合させるのかを、教えて下さい。
C 8月に公表された(改訂版)基本構想案の中の、「後期実施計画・体系図案」では、計画が大項目から小項目に区分され、第1レベルから第3レベルに区分されています。その中の視点別の第1レベルの「産業を振興し、まちに活力を生み出します」に属する第2レベルと、第3レベルの方針が、前期のものと大幅に変更されています。少なくとも文章は全く変更されています。そこで質問ですが、変更された理由には、どのようなものがあるのでしょうか。
D 産業を振興する方針の一環として伺います。東濃西部・広域行政組合の、美濃焼産業・活性化推進会議は、緊急的課題として人材育成と産業観光を取り上げました。そして陶芸アカデミーと産業観光コンベンション・ビューローの設立を提案しています。これらの提案に対する多治見市の見解は、どのようなものでしょうか。教えてください。
E 私は地場産業の振興には、今申し上げた「陶芸アカデミー」の機能、すなわち人材育成、企業研修、情報収集発信、研究開発、デザインなどの機能が必要不可欠であると考えています。また、地域の人材は地域で育成するため、教育機関としての大学も必要不可欠であると考えています。つまり、私は教育機関とシンクタンク機能の両方を兼ね備えた大学の創設が、この地域には、どうしても必要であると考えています。そこでお尋ねいたしますが、前期計画の視点別項目で、「知性とゆとりを育むまちづくり」の中に計画されていた、「大学立地等の調査研究」の方針が削除されています。その理由は何でしょうか。教えて頂きたい。
F また私は、今後情報化社会の進展に伴って、情報通信基盤の整備は不可欠であると考えていますが、前期計画の視点別項目で計画されていた「地域情報化(テレトピア計画)を進めます」が削除されています。その理由を教えて頂きたい。さらに前述した東濃西部・広域行政組合は「東濃まるごとITタウン構想」を提唱していますが、後期計画には、このような具体的な計画がありません。何故でしょうか。教えて下さい。




 次に、大きく3つ目の質問を行います。題目は「(仮)自治体基本条例・要綱(案)は、二元代表制を考慮していないのではないか」です。この質問は8月17日にインターネットで公表されたバージョン1を基本とし、7月の広報の「まちの憲法をつくろう」を参照しながら行います。
バージョン1は、仮の要綱案でもあり、条例案としては成熟度の大変低いものであります。しかしながら、西寺市長は昨年4月の市長選挙のマニフェストで、自治体基本条例を平成16年の12月議会までに、制定すると公約されていますので、条例案の基本的な考えを正すならば、この9月議会しかありません。世に、「神々は細部に宿る」という言葉があります。どんなに条例案の成熟度が低くても、その条文の端端にしは、条例を策定する側の哲学や、基本的な考え方が示されているものです。そのような観点から、条文の言葉尻に囚われることなく、条例案の基本的な考え方について、いくつかの質問を行います。 日本国憲法の前文には、何故憲法を作るのか、国における憲法の位置づけ、国の目指す方向、主権在民の原則と国家の役割が記載されています。しかし、今回の自治体基本条例案は、その前文にも総則にも、前の質問で述べたような自治体のミッション、つまり使命や、多治見市の目指すべきビジョン、つまり将来像が見当たりません。 広報の「まちの憲法をつくろう」では、「市政のルールを明確化する」ために自治体基本条例を作るという表現がありますが、それのみで憲法と呼べるでしょうか。そこで、最初の質問は、多治見市のミッションとビジョンが明らかにされていませんが、今回の条例は何を目的として制定されるつもりなのでしょうか。お尋ねいたします。

2つ目の質問です。私はこの種の条例には基本的に3種類のものがあると考えています。
1つは、北海道のニセコ町が制定した有名な「まちづくり基本条例」で、執行部側の行政基本条例という性格のものです。この種の条例の名称は「まちづくり基本条例」か「行政基本条例」と呼ばれています。2つ目は議会基本条例です。この条例は議会のあり方や目指す方向、及び議会の役割などを制定したもので、議会側が策定します。3つ目の条例は、行政基本条例と議会基本条例を、二元代表制の整合性を取りながら統一したもので、一般に「自治基本条例」と呼ばれ、自治体の憲法に相当するものです。 現在、条例の呼び方は様々ですが「行政基本条例」を制定した都市は、今年の4月段階で7自治体ほどです。2つ目の市議会基本条例を制定した自治体は現在ありません。3つ目の自治基本条例は、札幌市で榊原試案として試みられていますが制定するに至っていません。ただし、行政基本条例に議会の役割を記載して自治基本条例と呼んでいる自治体はいくつかあります。しかし私はやはり議会の役割と同時に議会のあり方や目指す方向をも明らかにしたものでないと、つまり、少なくとも二元代表制を意識して整合性を図ったものでないと、「自治基本条例」、つまり「まちの憲法」の名に値しないと考えています。
 そこで、2つ目の質問は、条例の名称を行政基本条例やまちづくり基本条例とはせずに、自治体基本条例とした理由には、どのようなものがあるのでしょうか。
 3つ目の質問です。従来、自治体は「行政」という用語を多用して来ました。執行部が立案した政策を、議会が承認し、執行部が執行する、それらの一連の行為を「行政」の一言で片付けて来ました。今回の条例では、「行政」という用語は一切使用されていません。変わりに、市、政府、市政などの用語が、定義されることもなく多用されています。 一体、市とは何をするところなのか、政府とは市役所と異なるのか、市政は行政と異なるのか。前述したように「神々は細部に宿ります」ので、これらの用語をキチット定義しておかないと、市民の間で大いなる誤解が生じます。
 そこで、3つ目の質問は、市、まちづくり、政府、市政、市民の参画、パブリック・コメント、市民の役割などの定義はどのようなものでしょうか。また行政という用語を使用しない理由には、どんなことがあるのでしょうか。
 4つ目の質問です。条例案は、前文で「基本的人権の実現を目的」としていますが、総則では「市民自治の確立を図ることが目的」としています。両者のそれぞれの意味はどのようなものでしょうか。また両者の目的は、条例の中でどのような位置づけになるのでしょうか。教えて下さい。
 5つ目は、条例の第1章の2の題目は、「市政情報の公開と提供」となっています。ここで「提供」という言葉は、昔のお上意識の名残りではないかと、私は危惧しています。やはり地方分権時代の条例に相応しく、「提供」という用語は、「共有」という用語に変更すべきであると考えますが、執行部はどのようにお考えでしょうか。
 6つ目の質問です。第12条の「事業実施の参画」では、「市民の活動を生かした事業の実施に努めなければならない」とあります。この表現も鎧の下に昔の名残りが残っていそうな印象を受けます。やはり市民自治を標榜するのならば、「市民とのパートナー・シップに基づく協働により事業の実施に努めなければならない」という表現にならざるを得ないと考えますが、執行部はどのようにお考えでしょうか。
 7つ目の質問です。第13条の「政策評価への参画」ですが、この場合の「政策評価」は、行政評価のうち、執行評価、政策評価、事務事業評価のどれを意味しているのでしょうか。教えて下さい。
 8つ目の質問です。第16条の「政策評価」の条文にある「総合計画」と、「行政改革大綱」の両者は、どのような位置づけになるのかを教えて頂きたい。また、行政改革大綱は市長の任期毎に策定することになっていますが、総合計画の実施計画策定の期間は3年間となっています。両者を整合的に運用するためには、どのような方策を考えておられるのかを教えて下さい。
 9つ目の質問です。第18条の「法務原則」で、「市は法令遵守に制度的に取り組む」となっていますが、「制度的に取り組む」とは、具体的にどのようなことを意味するのでしょうか。教えて下さい。
10番目の質問です。第20条の「権利救済」のなかで、「権利救済制度は別に制度を定める」とありますが、これは過去に市議会で否決された「オンブズパーソン条例」を制定するという意味でしょうか。教えて下さい。
 11番目の質問です。第23条の2の「市民投票」では、別に条例を定めるとあります。多治見市議会は昨年、2度にわたって市民投票条例を否決しました。その審議の過程で感じたことは、市民の皆様には、法令の中に「市民投票」の規定がなく、市民投票の結果が自治体と議会を拘束するものにはならないという認識がほとんどなく、事態が混乱しました。また、3市1町合併の住民意向調査の結果、合併が破綻したことで切実に感じたことは、行政の意志を市民に正確に理解していただくことは、現時点では非常に難しく、行政の意志と民意がねじれた結果になってしまった、ということでありました。 そこで私は、行政側の考えや情報が市民に正確に伝達されているという条件を前提として、「市民投票」を実施すること、そして結果の取り扱いについては、まず法令的に議会の議決権が優先していることを明記した上で、市民投票結果の取り扱いを議論すべきだと考えています。執行部の考えはどのようなものでしょうか。
12番目の質問です。第25条の「自治・行財政権の確立」の中で、「国と自治体の役割分担の明確化」とありますが、定義としては、やはり「国、県、自治体、市民の役割分担」を明確にした方が良いと考えますが、執行部はどのようなお考えでしょうか。
13番目の質問です。第10条の「条例制定の参画」において、「条例の提案者は市民参画有無の報告を添付して、条例を提案しなければならない」とありますが、これは議員が発議し条例を制定する際の制約条件となって、議会に影響を及ぼします。また第31条の「服務の宣誓」では、「議員は別に定める条例により服務の宣誓をしなければならない」とあります。議会の専決事項を議員以外の誰が、どのような条例を制定するのか定かではありませんが、今のところ議会がその是非について議論していない段階で、この条文を制定することは、明らかに越権行為であります。
さらに第32条の「議会の役割と責務」において、「議員は本条例の理念や原則と制度を遵守し」とあります。この条文は、自治体基本条例によって議会活動を制約しようとするものですが、議会ではこの問題について、一度も議論を尽したことがありません。執行部が議会活動を制約しようとする条例を、議会への相談もなく提案することは、大変問題が大きいと考えます。またこの発想は、議員が市長の価値観の範疇で選出されたものではなく、全く別の価値観で選出されているという二元代表制の意義を全く理解していないもので、議会の権限を侵犯しているものと考えています。そして第35条の「市長の役割と責務」において、「市長は市政を監督する」という条文がありますが、市長は執行機関を監督するのであって、議会をも監督する権限は有していないと考えますが、執行部はどのようにお考えでしょうか。
最後の14番目の質問です。第39条の「最高規範性」において、「市は憲法や法令を解釈して運用する場合には、本条例に照らして判断しなければならない」とありますが、この条文では、どちらが上位概念か混乱を発生させます。憲法や法令が条例より上位であることは明らかですが、この事をあえて明記した上で、条例の制約条件と運用方法を書き込む必要があると考えますが、執行部はどのようにお考えでしょうか。




 私の質問は以上です。ここで議員の皆様に、提案とご協力のお願いがあります。私はこの自治基本条例を勉強する過程で、 議会がどうあるべきなのかを再認識いたしました。そして、やはり「議会基本条例」を、議会自らが制定する必要性を痛切に感じました 。現在、全国の自治体で、「議会基本条例」を策定した都市はありませんが、是非多治見市議会としてのものを作りたいと考える次第です。

この8月25日、全国議長会の都市行政問題研究会は、第28次地方制度調査会が「議会のあり方」をテーマにすることを受けて、 今年と来年の研究テーマを、「分権時代における市議会のあり方」としました。11月にアンケートを各市議会に発送し、 来年の2月に調査結果を取りまとめるようです。私どもの多治見市議会においても、政府の地方制度調査会や全国議長会と 歩調を合わせながら、私は日本初の「議会基本条例」を制定したいと考えています。どうか議員の皆様におかれても、 議会基本条例の制定に対し、前向きにご検討下さるようお願い申し上げて、私の1回目の質問を終わります。