平成14年9月議会・一般質問
市民クラブの中道です。それでは、事前に行いました通告に添って、市政の一般質問を行います。質問は大きく3つあります。
1つ目の題名は「住民に合併の是非を問う方法は、3市1町合併協議会に任せよ」です。
2つ目の題名は「市民病院は真に市民の求める病院になれるのか」で、最後の題名は「吉田理事は任期中にどのような成果を上げるおつもりか」の3つであります。
それでは、「住民に合併の是非を問う方法は、3市1町合併協議会に任せよ」について質問いたします。この質問は自治体基本条例、特に住民投票制度に関する質問でありますが、最初に私の態度を明らかにしておきます。私は過去に要望しましたように、自治体基本条例を制定すべきだと考えており、住民投票制度も必要だと考えています。そのことは私のインターネットのホームページでも公表しています。
しかし、既に合併協議会が設置された現段階において、3市1町のうち1市だけが住民投票をしたいなどと、単独で公式に発表することは、合併の協議を進める上で大変大きな障害になると考えています。このような立場から質問を行います。
去る7月26日(注 8月26日の誤りです。お詫びして訂正します)の記者会見で、西寺市長は誠に唐突に常設型の住民投票制度の導入を含む「自治体基本条例」を制定すると発表されました。そして、この発表の中で、条例制定の作業には2年程期間を必要とするため、差し迫った3市1町合併の是非に対し住民投票を適用しようとすると、住民投票条例のみを個別に先行して制定する必要があると言及されました。
ここで、私が「誠に唐突だ」と言う理由は、次の2点によるものです。私は昨年の3月議会で、北海道のニセコ町が制定したような「まちづくり基本条例」を、つまり「自治体基本条例」を制定して欲しいと要望いたしました。しかし、その時の執行部の答弁は「その必要性について検討して行きたい」という程度のものであり、「前向きに」という形容詞が付いていませんでしたので、執行部の回答としては、所謂ゼロ回答と言うべきものでありました。
ですから、私は要望後、既に1年半が経過しており、あきらめておりました。
もう1つの理由です。今年の6月議会において、他の議員から合併の是非について住民投票を実施するか否かの質問がありましたが、その質問に対し、西寺市長は「現時点で住民投票ありきとの議論は性急過ぎるのではないか。住民投票の適否や実施時期は、合併協議会、あるいは各市町の議会において今後検討すべきものである」と答弁されています。
つまり、市長は答弁を行った6月21日の段階では、住民投票の実施について議論するのも時期尚早であると回答されています。
それにも拘らず、約1ヶ月後の7月26日(注 約2ヶ月後の8月26日の誤りです)には、住民投票を実施すると発表されています。これは、誠に唐突であると言わざるを得ません。この間、合併協議会でも、各市町の議会でも住民投票の是非については、全く議論されていません。この間に何があったのでしょうか。何故、この時期に住民投票を実施すると発表されたのでしょうか。
7月に合併協議会が設立され、3市1町が足並みを揃えて協議をスタートさせたばかりであります。こうした状況を無視し、多治見市長が単独で合併の是非を問うため、住民投票を実施すると公式に発表することは、合併の協議を進める上で大変大きな障害になるばかりでなく、土岐市、瑞浪市、笠原町に対して、大きな混乱と不信を招くものです。
東濃西部合併協議会は、昨年の住民発議による署名活動を契機として、各市町の首長、助役、議長の合意により設立されました。合併協議会の規約と予算は各議会の議決事項であり、規約は各市町が共通のものを採用しています。合併協議会の会議運営規定や新市建設計画小委員会設置規定、及び事業計画も全て同じものが合意されています。
つまり、合併協議会はこれまで各市町の合意点を探しながら共同歩調を取りつつ進めてきたのであります。しかるに、この度の西寺市長の行為は、これら合併協議会の進め方を完全に否定するものです。
それが証拠に、去る9月11日、瑞浪の高嶋市長は多治見の西寺市長の行為について、議会の一般質問で次のように答弁されました。「事前に何ら打診はなかった。合併を前提とした協議会で協議しているこの時期に、こうした発表をされたことはいかがなものか。住民の意向を調査する場合は3市1町が同じ方法で実施しなければ意味がない。どのような方法で調査するかは合併協議会の中で協議すべきである」と答弁されました。
また、同12日、土岐の塚本市長は西寺市長の行為について、次のように答弁されました。「議会や市民が住民投票を取り入れる意思があればやぶさかではないが、住民投票は直接民主主義的手法であり、行政としては積極的に考えていない。合併の是非については、合併協議会の3分の2以上の賛成と、各市町の議会の議決が必要であり、2重の関門を通過しなければならず、この方法は議会制民主主義の下では民意を反映したものである」と答弁されました。
つまり、西寺市長の行為に対して、高嶋市長はその方法論を、塚本市長は住民投票そのものを、それぞれ公式に否定された訳で、このことは合併協議会の会長の意見に対し、3人の副会長のうち2人までもが、反対の意思を表明されたことになります。
過去のお2人の市長の言動を考慮すれば、当然反対が予測されたにもかかわらず、何の工夫もなく住民投票を行うと発表される行為は、軽率と言わざるを得ません。合併する意思がないと詮索されても仕方のない行為であります。
何のために、西寺市長がこの時期に住民投票を行うと発表されたのか、真意は分りませんが、一体、市長は本気で合併を実現するつもりがあるのか、私も疑問に思います。
もし合併を本気で実現するつもりならば、7月26日(注 8月26日の誤りです)の記者会見での発表は撤回すべきです。そして、住民投票の実施については、一旦、白紙に戻し、合併協議会の中で議論すべきです。それが合併協議会の会長としての取るべき行動であると、私は考えます。
そのような主旨から、質問の題名を「住民に合併の是非を問う方法は、3市1町合併協議会に任せよ」としました。以下、順に、7項目について質問いたします。
最初の質問です。私は先ほど述べましたように、過去、自治体基本条例の制定を要望しました。この制定作業が要望した直後の平成13年度からではなく、今年、つまり平成14年6月から唐突に着手した意図は何か、であります。
2つ目の質問は、「合併の是非を実質的に決定する方法について、市議会の議決より住民投票を優先させた理由は何か」です。
土岐の塚本市長も答弁しておられるように、日本は行政を効率的に行うために議会制民主主義、つまり間接民主主義を採用しています。憲法は決して住民投票そのものを否定していませんが、直接民主主義を採用していません。しかるに、敢えて現行の制度と整合しない住民投票を実施しようとされる理由は何なのでしょうか。
3つ目の質問は、「多治見市が単独で住民投票を実施する意味は何か」と言うものです。
確かに、住民投票するか否かは各自治体が判断するものです。しかし、対象が合併の是非となると、話は別です。
仮に、多治見市だけが住民投票を実施して合併が実現したと仮定しましょう。そうしますと、合併後の22万の人口を有する市民の中に、住民投票した市民と、しなかった市民が生まれます。こうした状況下では、融和を図らなければならないお互いの市民の間に、不公平感が生まれ、不信感が生まれます。
また、投票した市民は住民投票制度がなかったら別の結果が出たのではないか、投票できなかった市民は住民投票できたら別の結果が出たのではないか、とお互いに懐疑的になり、新市の誕生に確信が持てず、新市の建設にとって障害となります。
それでなくとも、現在の合併協議会は各自治体が疑心暗鬼の中で、お互いの合意点を探りつつ進めているのが実情であります。そのような時に、単独で住民投票を実施すると公表することは、合併協議会の協力体制を自ら崩すものです。それを、敢えて実施する意味を教えていただきたい。
4つ目の質問です。「多治見市が単独で住民投票を行う予定であることを、他の2市1町は了解しているのでしょうか」です。この質問は、瑞浪の高嶋市長が議会で答弁される以前に通告しています。新聞情報で、瑞浪市には打診しなかったことが分かりましたが、その他の自治体に対しては、どうだったのでしょうか。
5つ目の質問は、「合併の是非を問う方法が3市1町で異なることは、3市1町の住民意識に混乱や不公平感をもたらし、合併の進展や新市形成後の障害になるのではないか」と考えますが、市長はどのような見解をお持ちでしょうか。
6つ目の質問は、「住民に合併の是非を問う方法は、3市1町の合併協議会によって決定すべきものであり、3市1町が足並みを揃えることが必要」と考えていますが、市長の見解はどのようでしょうか。
7つ目の質問です。今後の協議を重ねて行く中で、合併協議会が3市1町の住民投票を実施するとの合意ができた場合、私は合併の是非、つまりYESかNOだけではなく、併せて新市の名称や市役所の位置などの住民意識調査も行うことを提案いたしますが、市長のお考えはどのようか、お尋ねいたします。
次に、大きく2つ目の質問を行います。質問の題名は、「市民病院は真に市民の求める病院になれるのか」です。
去る8月27日、市議会の全員協議会の席上で、江口助役はこの10月に岐阜大学から3名の内科医師が赴任し、それに伴って鶴賀院長が退職され、新しく県立岐阜病院から院長を迎えることになったと報告されました。鶴賀院長の退職は私どもにとって初耳で、議員全員は驚きをもってこの報告を受け止めました。
何故ならば、院長は平成5年に多治見市民病院に着任以来、市民のための病院を目指し、一貫して病院職員の雇用と市民病院の改革に情熱を傾注して来られました。その結果、高度な医療を行う県立多治見病院に近接しているという不利な条件下にあるにもかかわらず、市民病院は365日、24時間の医療態勢を整備し、病気を予防する検診システムを確立し、当時赤字でどうにもならなかった病院経営を黒字に転換させるなど、数々の成果を挙げて来られたのであります。
確かに、平成13年度は内科医師が2名減少したことによって、病院は市民の需要に応えられず、経営は5年ぶりに赤字となりました。また、今年になっても医師が減少し、循環器と呼吸器の診療を休診せざるを得ない事態に陥り、本年度も経営の赤字が予測されています。
医師の不足は、派遣を依頼している名古屋市立大学に限らず、どこの大学でも同じでありますが、平成13年度から医師が減少し続けている根本的な原因は、鶴賀院長が再三再四にわたって請求して来られた、新しい市民病院の構想を、未だに西寺市長が策定されていないことにあると、私は受け止めています。
ご承知のように市民病院は、築後約30年を経過し、建物が老朽化しており、新しい医療に十分対応できる状況にはありません。
その上、この度、医療法が大きく改正され、市民病院が市民の需要に応えるために、今後二次医療の総合病院として再構築するのか、それとも今後の少子高齢化社会に適合するために、療養型病床群を構築するのかの方向性を、緊急に決めなければならない命題が生まれました。この命題に応えるのは、市長の専決事項であります。
すなわち、建物の老朽化のために、市民病院は早急に建て替える必要があり、その際、従来通りの総合病院として再構築するのか、それとも療養型病床群の整備を目指すのか、さらに新しい病院は現在地に建設するのか、それとも別の場所に移転するのかを、西寺市長が決断しなければならないのであります。
この方針が決まらないために、将来性に不安を持った医師が転出し、そのために院長の不足医師を補充する努力が、名古屋市立大学では報われなかったのだ、私は考えます。
最新の医療技術を習得したい、または療養型の医師として地域に貢献したい、このどちらでもない状態を継続する限り、良い医師の常駐はあり得ません。良い医師が来なければ、市民病院の存続もありません。
繰り返しますが、鶴賀院長は西寺市長に様々な選択肢の中から、どれを採用するかの判断を再三再四催促されましたが、現在に至るまで市長は決断されませんでした。ですから、私はこのことが現在の医師不足を招いた根本的な原因だと考えているのです。
このような事柄を背景として、次に7項目の具体的な質問を行います。
平成11年の9月議会において、私は市民病院と県立病院の一体化構想について、と題する一般質問を行いました。その中で、私は市民病院を新しく再構築するためには、病院の医療機関としての現状を客観的に把握する必要があり、そのため財団法人の日本医療評価機構の評価を受ける必要があると主張し、病院機能の評価を要望いたしました。
その際の回答は決して良いものではありませんでしたが、翌年の平成12年度、執行部は市民病院に対する日本医療評価機構の病院機能評価審査を受けられました。最初の質問は、その審査結果がどのようであったかをお尋ねいたします。
2つ目の質問です。審査の結果、市民病院は評価機構の認定を受けたとは聞いていませんが、何か不都合があったのでしょうか。また、審査の結果が病院長の交代を示唆しているのでしょうか。
3つ目の質問です。聞くところによりますと、審査結果は病院長の力量を高く評価しているやに聞いております。だとすれば、病院長が交代する理由は何でしょうか。
4つ目は、病院長のポストを名古屋市立大学出身者から、岐阜大学出身者に変更することによって、今後、市立病院から医師派遣の協力が得られなくなる恐れがありますが、そのことを西寺市長は、どのように考えられておられるのでしょうか。
5つ目の質問です。病院長は医師として優れていることは当然として、その他に病院経営者としても優秀でなければなりません。そこで、新たに予定されている院長は医師としても、病院経営者、つまり医療行政、組織管理、財務管理、および政策や構想力立案能力をも、優れていると判断されて決定されたのかを、お尋ねいたします。
6つ目の質問です。今回の措置によって、今後、内科には市立大学出身者と岐阜大学出身者の医師が混在することが予想されますが、科内の指揮命令系統やチームワークに支障を来たす恐れはないのでしょうか。
7つ目の質問です。前述した全員協議会の席上で、江口助役は本庁舎側が新しい病院の構想を策定したと述べられました。まだ、病院側とはすり合わせてはいないそうですが、3市1町の合併が進められている現在、大変重要な事柄であります。新しい病院の構想とは、どんなものなのでしょうか、お尋ねいたします。
次に、大きく3つ目の質問を行います。題名は「吉田理事は任期中にどのような成果をあげられるおつもりか」です。
去る7月1日付けで、国友前理事兼企画部長が転出し、新たに経済産業省から吉田理事兼企画部長が着任されました。そこで、吉田理事に歓迎の意味を込めて質問いたします。
私は平成12年の9月議会においても、当時の通産省から新しく出向して来られた国友前理事に対し、歓迎の意味を込め、「国友理事に質問する」と題して一般質問を行いました。
今回の質問は基本的に前回の質問と同じ内容です。本来であれば、国友前理事から総括をお尋ねするところですが、国友前理事から吉田理事への交代が急だったものですから、この2年間の仕事の総括を聞く機会はありませんでした。
さて、前回、国友前理事は私の質問に対し、多治見市が通産省へ要望した出向の役割は、次の2点であると答弁されました。1つは、新産業の育成と中心市街地の活性化に取り組んで欲しい。2つ目は企画部の仕事だけではなく、市役所の重要な案件について幅の広い視点から意見を具申するとともに、行政改革に取り組んでもらいたい、と言うものでありました。
しかし、国友前理事が在籍された2年間で、その2つの重要な役割がどれだけ進展したのかを、市民に対して明らかにされる機会はありませんでした。そこで、最初の質問は、「前任者の引継ぎにおいて、前理事に与えられた役割のうち、何が出来て、何が出来なかったのかを総括していただきたい」というものです。
2つ目の質問です。去る7月10日の全員協議会において、吉田理事は全議員に対し着任の挨拶をされました。また、その後の岐阜新聞のインタビューや先日のFMPiPiの放送でも、着任の挨拶を述べられています。それらの内容を見聞しましたが、いずれにも理事に与えられた具体的な役割や、任期中に自分がやりたいことの抱負は述べられませんでした。そこで、質問です。「多治見市から求められている吉田理事の役割は、何か」と言うものです。
また、「吉田理事が多治見市に期待するものは、何か」を3番目にお尋ねいたします。
最後の質問です。前回、私は国友前理事に在任中の2年間で、どのような業績を残すおつもりかと尋ねましたが、答弁がありませんでした。質問時間が限られていたため再質問をすることができませんでした。そこで、再度同じ質問を、しかし今度は視点を変えてお尋ねいたします。「吉田理事は任期の期間中に、多治見市でどのような成果を上げられるおつもりか。」
以上で、私の1回目の質問を終わります。