‘02年6月議会の一般質問原稿
市民クラブの中道です。通告に従い市政一般質問を行います。質問は大きく分けて3つです。一つ目の題目は次期最終処分場の建設計画はどのようか。二つ目は「挑戦」は顧客(市民)本位で進めよ。三つ目は政策による農業の活性化を進めよ、であります。
それでは、最初の「次期最終処分場の建設計画はどのようか」について質問します。新処分場選定委員会は、今年の3月に22回の会合を終えて、市長に最終報告書を提出し、4月6日には市民に対する説明会を行いました。
結果は皆様がすでにご承知の通り、処分場候補地を決定せず、当初の目的が達成されませんでした。委員会の結論は、3箇所の候補地に対し4つの評価項目の重要度を変えることによって候補地の優先順位が変化するというものです。さらに、候補地を1箇所に絞り込むために、評価項目の重要度を決めるのは、多治見の市民が政治的に決めることだ、としています。
平成11年の9月議会において、新処分場選定委員会を立ち上げ、そこで候補地を決定することの合意が得られました。以来、委員会は委員選定を含めて、約2年半の歳月と約1000万円の費用を掛けて行われました。しかしながら、候補地を選定する委員会であるにもかかわらず、委員会は敢えて候補地の決定を行いませんでした。
私はここに西寺市長が多用されてきた委員会の行政に果たす役割の限界を覚えました。委員会は様々な調査と研究を行い、判断材料は提供できても、決定の役割を果たせません。昨日の答弁にありましたように、最終的な決断はやはり市長が行うものです。
私はこれまでの22回の委員会のうち、視察を除くほとんど全ての委員会を傍聴し、かつ委員長の許可を得て幾つかの提言を行ってきました。委員会は当初候補地を1箇所に絞り込むべく精力的に活動されました。私の提言もいくつかは採用されました。しかし委員長は昨年の10月と12月の委員会において、候補地を1箇所に絞らない旨の発言をされました。
そこで、私は委員会の目的は候補地を1箇所に絞ることであり、委員会で候補地を決めて頂かないと、多治見市は混乱すると提言しましたが、受け入れられませんでした。
私の提言に対する委員長の回答は、候補地は行政の責任者が決定することであり、市民や政治が判断することである、とのことでした。この回答の持つ意味は大変重要です。回答を分かり易く言えば、「市長が決定し、選挙で信を問え」と言うことであります。
今年の1月20日、脇之島公民館で開催された地区懇談会で、住民から「委員会が報告書を提出した後のスケジュールはどのようか」との質問に対し、執行部は次のように答弁されました。行政が3つの候補地の順位付けを行ってから住民説明に入るが、説明の方法はまだ決まっていない。いずれにしても、14年度中に候補地問題は決着したい、と決意を述べられました。
しかし、昨日の環境経済部長の答弁に寄りますと「でき得れば、今年度中に決定したい」との事でした。この答弁は1月の市長も同席された地区懇談会の答弁より明らかに後退しています。このことは住民との約束事を反故にする大変大きな問題であると考えています。
さて、委員会の報告書が提出されてから、早や2ヶ月以上が経過しました。そこで、次期最終処分場の建設計画に関する幾つかの質問を行います。
最初の質問は、4つの候補地選定評価項目の優先順位はどのようか、です。
4つの評価項目とは、生活環境、自然環境、安全性、経済性であります。報告書は3箇所の候補地である旭ヶ丘、三の倉、大畑町に対し、評価項目毎に優先順位を示す評点を付けています。つまり、市長が評価項目の優先順位を決めれば、一義的に候補地が決定されることになります。
去る4月6日の報告書説明会で、私は、評価項目の優先順位で一義的に決めるのではなく、例えば、3箇所の評点を合計して判断材料にするなど、4つの評価項目と3箇所の候補地の優先順位から総合的に決める方法もあるのではないか、と質問しました。これに対する委員長の回答は、評点を合計して候補地を決定することは想定していない。やはり評価項目の優先順位を決めてから候補地を決定すべきだ、とのことでした。
昨日の答弁では、まだ決まっていないようでありますが、改めて4つの候補地選定評価項目の優先順位を明確に答えていただきたい。
2つ目の質問は、熔融スラグと飛灰の管理・処分方式は、8つのケースの内、どれを採用するのか、です。最終処分場で処分する廃棄物は、現在建設中の熔融型新焼却場の完成によって、質・量ともに当初とは飛躍的な変化を遂げることができました。委員会の見積によれば、平成16年から平成30年の15年間で、飛灰や産業廃棄物等の埋立処分量が約7.5万d、熔融スラグ等の資源化できるものが約10.8万dとなっています。
これらの廃棄物のうち、処分場の形式を決めるのは、3.4万dの飛灰と8.4万dの熔融スラグです。処分場の形式には、安定型と管理型があり、管理型にはクローズド方式とオープン方式があります。全ての廃棄物をクローズド式の管理型処分場に処分すれば、生活環境や自然環境、及び安全性を満足しますが、著しく経済性を損います。
また、飛灰や熔融スラグは現時点では資源化して再利用できるか否かの判断が難しく、これらを短期的に保管すれば良いのか、長期的に保管すれば良いのかの判断が難しい。
このため、3つの処分場形式を基準として、飛灰と熔融スラグを短期と長期の保管に区分して組合せを考えると8つのケースが想定できます。
報告書は、3つの候補地に対し、この8つのケースに即した建設費と維持管理費を積算し、それぞれの経済性を比較しています。つまり、8つの内のどのケースを選択するかによって、経済性のみに基づく候補地は一義的に決定します。昨日の答弁によれば、この問題もまだ決めていないようですが、改めて熔融スラグと飛灰の管理・処分方式は、8つのケースの内、どれを採用するのかを、明確に答えて下さい。
3つ目の質問です。処分場候補地の決定は何時、どのような手続きをもって行うのですか。4つ目の質問です。候補地住民の合意は何時、どのような手続きをもって行うのですか。
先ほど述べましたように、執行部は住民に対し14年度中に候補地を決めると明言されました。執行部は同様に14年度中に地元に対する住民説明会を行うとも明言されました。この地元説明会はどのような性格を持つのかを含めて、合意の時期と手続きについてお尋ねします。
5つ目の質問は、処分場建設に際して環境影響評価を実施するのか、であります。次期最終処分場は規模が小さくなったことで、国や県が定めている基準に適合せず、環境影響評価を実施する義務がありません。しかし過去の経緯を考慮すれば、安全性の確認と住民合意のためには必要なものと考えます。執行部はどのように判断されるのでしょうか。
6つ目の質問は建設スケジュールはどのようか、です。名古屋市と多治見市の間で、愛岐処分場の延命策が合意されたことにより、処分場の空白期間が回避され、少なくとも10年間の処分場は確保されました。また、今議会に提出されている3市1町の法定合併協議会設置の動向により、本市の次期最終処分場建設の行く末はかなり流動的であります。しかし、どのようなことになろうとも、処分場空白期間は行政の責任において避けなければなりません。そのような意味で、建設のスケジュールをお尋ねします。
次に、大きく2つ目の質問を行います。題目は、「挑戦」は顧客(市民)本位で進めよ、です。
この5月に、多治見市から「挑戦するまち、多治見市」と題する本が、定価2,000円で発売されました。質問の主旨は、この本を発行した意図は何か、というものです。
この本には、3つの大きな問題点があります。西寺市長は、本を発行した動機を、巻頭で「多治見市ではこれまで取り組んできた行政を変える様々な試みを世に問うため、成果報告書ともいうべき書物を編むことになりました」と述べています。であるのならば、この本は政治家・西寺雅也の個人名で発行すべきです。もちろん発行に要する費用は、個人が負担すべきでしょうし、執筆も個人が行うべきでしょう。
事務方と呼ばれる市の職員は、職務上、市長の命に従って事務を遂行しただけであって、職員が行政を変えたのではありません。行政を変えたと自負するのならば、それはひとえに西寺市長の功績であります。ですから、個人名で自費出版すべきであります。
これが第一の問題点です。
第二に、本の題名は「挑戦するまち 多治見市」ですが、この本を読んでも「多治見市が何に挑戦しているのか」が分かりません。まるで、変わること自体が目的になっているようです。
また、副題は「職員が語る地方自治体の現状と将来」ですが、その内容は個々の事務事業の説明もしくは現状の解説であり、副題にある「将来の姿」はありません。つまり、本の題名と内容が整合していません。
第三に、市役所が市民のためにあるのならば、本は顧客本位で、しかも成果主義で記述しなければなりません。ところが本は「我々はこのように実施してきた、これからはこのように実施します」との決意表明となっています。決意表明はそれなりに評価をします。
しかし肝心の市民の生活が、今までの事務事業の実施によって、どのレベルからどのレベルまで向上したのか。また、これからの実施によって、どのレベルまで向上するのかが記載されていません。つまり内容が成果主義でないために、市民本位ではなく、職員の自己満足的な内容になってしまっているのです。
職員は本の中で次のように述べています。計画の進行管理を成果主義へとシフトするためには、計画項目ごとに指標となる目標数値を定める必要があります。しかし、この指標を数値として定めることは、実はそんなに簡単なことではありません。私達が目標数値を定めて仕事をすることに慣れていない事実と、裾野が広く多種多様な行政分野の事業全てにことごとく指標を定めることの困難さと煩雑さが自らの指標を設定する作業を疎遠にしてしまっています。
この職員は自らの心情を正直に語っていますが、その困難さと煩雑さが伴う指標設定作業を実施することこそが、「挑戦」という名に値する行為なのではないでしょうか。しかも、そのことは2年前の第5次総合計画案を審議する特別委員会で、私が口をすっぱくして申し上げたことであります。しかし、この本を読む限り、その後、改善されたようには思われません。
今回、市から発行された本には、以上、3つの大きな問題点があるという認識のもとに幾つかの質問を行います。まず、本の発行について。
@ この本を発行した目的は何か。
A 総合計画、基本計画、実施計画と本との位置関係はどのようか。また、本はどうしても発行する必要があったのか。
B 発行部数は何部か。また、発行経費はどの費目で、いくら支出したのか。
C 執筆報酬と印税はどのような処理を行うのか。
D 職員以外の執筆者の位置付けはどのようか。
さらに、本の内容について。
@ 内容は市長の命によるものなのか。
A 「地方自治体の現状と将来」を「職員が語る」理由は何か。
B 「現状と将来」に関し、市長と職員の考えは整合しているのか。
C 「将来」とは何年後を想定しているのか。
D 本の中にある「重点行政分野の戦略」の優先順位はどのようか。
E 内容は顧客本位ではなく職員本位ではないのか。
F 内容は成果主義ではなく実績主義ではないのか。
次に、大きく3つ目の質問を行います。題目は政策による農業の活性化を進めよ、です。
今年の5月13日付けで、農林水産事務次官名で「農業委員会の選任委員の選定について」と題する通知が発行されました。
通知の主な内容は、農業委員に求められる学識経験者は、法律が施行された昭和26年当時と状況が変化しているので、委員の選定にあたっては留意されたい、というものです。
状況の変化とは、農業委員会が従来の農地の調整や農民生活の改善に留まらず、農業全般に亘る政策が必要であり、また農業生産のみならず農産物の加工や流通等への取り組みが必要になってきており、さらに農業委員会活動を活性化するために青年や女性農業者及び認定農業者を選出する必要が高まっていること等です。
このため、通知は農業委員が従来の利害関係者のみならず、農業政策に明るい学識経験者、青年や女性農業者及び認定農業者で農業の活性化に明るい学識経験者、農産物の販売・流通に明るい学識経験者を欠くことのないように、推薦及び選任することが望ましい、としています。
多治見市では現在、農業委員の任期が本年の7月19日となっており、現在18名の委員が改選される予定です。委員の名簿を拝見しますと、委員の任期は3年ですが、3期以上の多選の方や、75歳以上の高齢な方もおられ、今回の通知の主旨にそぐわなくなってきています。そこで、多治見市の農業を活性化するために、幾つかの質問を行います。
1. 直近10年間の農業の生産高と、全市生産高に対する比率はどのようか。
2. 同様に、農業従事者の推移と、全市従業員に対する比率はどのようか。
3. 農業品種のうち生産高の多い順番はどのようか。
4. 多治見市の農業を活性化させるための農業政策として、優先順位の高いものは何か。
5. さらに農業委員会について、細かく5点質問します。
@ 今回の農林水産事務次官の通知をどのように受け止めたのか。
A 農業委員会は農業にどのような役割を果たすと考えているのか。
B 農業委員会の委員担当区域割は、何時決定したのか。
C 現在の委員の中に、いわゆる学識経験者・青年・女性・販売流通業者はいるのか。
D 市議会議員が委員を兼務することに支障はあるのか。
以上で、1回目の質問を終わります。