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平成11年12月議会の一般質問

 市民クラブの中道であります。通告に従い市政一般質問を行います。質問は大きく分けて3点について行います。@「5次総の素案に夢はあるのか?」、A「地場産業発展のために大学の創設を!」、B「廃棄物行政について」の3点であります。

 

まず始めに、5次総の素案に夢はあるのか?という質問です。
去る9月20日、執行部は市議会議員に対し、第5次多治見市総合計画・基本構想素案を配布されました。昨年の8月に5次総の策定を開始して以来、策定のフローチャート、討議課題集、課題体系図、及び課題比較一覧表などを議員に公開して来られましたが、執行部としての基本方針を明らかにされるのは、この度が初めてであります。
私は5次総策定の方法については、6月議会で質問しておりますので、今回は執行部が策定された5次総素案の内容について、質問を行います。もとより、5次総は地方自治法に定められている基本構想を含むもので、多治見市の最上位の計画として、市議会の議決が必要で、その議決は来年の9月議会に予定されています。また5次総は多治見市の向こう10年間の行政の基本方針と、目指すべき都市像を示すものとして、市民の生活に直接・間接的に影響を及ぼすもので、市民にとって、大変重要な計画であります。さらに、5次総は、西寺市長にとって、白いキャンバスの上に、自らの夢を描く初めての機会であり、自らのビジョンと政策を実行する、最も重要な計画になるはずであります。しかし、この度、公表された素案のスタイルを見てみると、文章としては精緻で格調も高いにもかかわらず、全ての市民を対象に、全ての分野を網羅したために、また、従来と異なる視点別施策の項目毎に記述したために、計画の骨格構想が非常に判りにくいのであります。結果として、素案は4次総と同様に総花的なものになってしまい、その上、4次総よりも責任部署が曖昧になっています。加えて、素案の中身ですが、過去の発言からみて、西寺市長と特定幹部職員、及び5次総策定事務局の意向に、それぞれ認識の相違があるようであります。例えば、西寺市長は経済的な豊かさに対する懐疑心からか、「生活の質の向上」を目指しておられます。一方、特定幹部職員は、この12月議会で助役が初めて定義付けされたように、現在の多治見市は住宅都市であり、市の財政力を高めるためには、市内に市民の働く場所が少ないことが致命傷である。準工業地帯の土地に市民の働く場所を、どのようにして創出するかが今後の研究課題であると述べておられ、市長の現状認識とは、若干異なるようであります。そして、5次総策定事務局は、素案のキャッチフレーズである「市民の鼓動が響くまち」に見られるように、過去の行政のあり方を反省し、「市職員と市民の対話」を目指しています。
このように、市長と特定幹部職員、及び策定事務局の3者は、現状認識や今後進むべき方向に、それぞれズレがあるにもかかわらず、意見の調整を十分行わないまま、それぞれの立場と主張を、素案の中に盛り込んだのではないかと推察しています。結果として、最初に申し上げたように、素案は骨格構造が非常に判りにくいものとなっています。
一方、私は私なりの素案を策定するために、昨年の12月以来、多治見市の客観的な姿と市行政に対する総括的な分析を、独自に行ってきました。その結果、今の多治見市にとって、何が足りないのか、何を優先的に実施しなければならないのかが、おおよそ明らかになってまいりました。その結論から申し上げますと、市民の生活を経済的にも精神的にも豊かにするために必要なことは、市長が主張する「生活の質を高める」ことではなく、策定事務局が主張する「職員と市民の対話」でもありません。私の現状認識と今後の方針は「住宅都市にとって、都市の財政力を高めるためには、市民の働く場所を創出することである」とした、助役の見解に近いものであります。
このような立場から、5次総の素案に対する市政一般質問を行いますが、その前に、現在の多治見市は産業都市ではなく、本当に住宅都市なのか、また市民の生活を経済的にも精神的にも豊かにするために、どうして都市の財政力を高める必要があるのか、さらに多治見市の財政力を高めるために、何故、市民の雇用確保が最優先課題となるのかを、明らかにする必要があります。そこで、まず、私が分析した客観的な多治見市の姿と、問題点を明らかにした後に、具体的な質問を行います。

時間を節約するため、事前に補足説明資料を配布させていただきました。この資料を用いて説明いたします。右上にページが振ってありますが、1ページの左の図は、岐阜県を10のブロックに分け、それぞれの地区の所得水準と、その主な要因別格差を示したものであります。図は所得の水準と要因別格差を、放射状グラフによって示し、その要因は、左上に表示されているように7つあります。図のなかで、東濃西部地域、すなわち陶磁器産業を基幹産業とする、多治見市を含む3市1町の図は、この放射状グラフの、右端の下から2番目であります。このグラフから、東濃西部の特徴は、右下のCの民間法人企業所得が、県下の平均値の約6割であるにもかかわらず、@の雇用者平均所得を初めとする、その他の6つの要因は、県下のほぼ平均値にあります。つまり、東濃西部の企業平均所得が、県下平均の約6割しかないにもかかわらず、雇用者の平均所得が、県下の平均にあるというアンバランス、かつ不可解な状態を示しています。右の棒グラフは、産業別の労働生産性と、就業者の割合を示したものであります。中段の図で、製造業である第二次産業の東濃西部を見ますと、その労働生産性は約570万円で、10ブロックの中で最下位であります。下段の図で、サービス業の第三次産業の労働生産性においても、東濃西部は益田と郡上に次いで、ビリから3番目の低さであります。つまり、これらの棒グラフは、東濃西部の地場産業の労働生産性が低く、特に製造業、言い換えれば陶磁器製造業の労働生産性は、県下で最も低いことを示しています。
次の2ページで、左側の図表の内、真中の表は、東濃6市の就業者1人当たりの市内総生産額、つまり地場産業の従業員1人当たりの生産額と、人口1人当たりの市民所得、つまり市民1人当たりの所得額を比較したものであります。この表から、市内の地場産業の従業員1人当りの生産額は、6市の内で、可児、中津川、恵那市についで4番目にもかかわらず、市民1人当りの所得額は、可児市についで2番目であります。ここでも、生産額と所得のアンバランスが認められます。同じ2ページの右側の図は、県下企業の規模別の年収と、市職員の年収を、年齢階級別に示したものであります。同時に、全国平均の年収も同じ基準で示してあります。下のグラフを見ていただくと判るように、市職員の年収は、全国平均の年収よりも高く、県下100人以下の企業の年収よりも高いのであります。市職員の年収が、全国平均の年収よりも高くなる原因は、ボーナスに差があるためであります。しかし、ここで指摘したいことは、多治見市・全産業の1企業当りの従業員数は、6.6人で、製造業の従業員数が8.9人、商業の従業員数が5.3人であります。つまり、市内に従業員が10人以上の企業は殆どありません。そして、従業員が9人以下の年収は、グラフに示すように最も低く、年齢の平均で比較すると、市職員の年収よりも34%も低く、全国平均の年収よりも25%も低いことが判ります。しかも、このデータは岐阜県下の従業員数が9人以下のデータでありますから、先ほどの放射状グラフから、東濃西部の企業所得が、県下の他の地区より、4割も低いことが判っていますので、東濃西部の従業員の年収はさらに低いことが推測できます。すなわち、市内で働く従業員の年収は、市の職員よりも、全国平均よりも、さらに県下の平均よりも、著しく低いのであります。従業員の年収が低い原因は、企業所得も低いことから、経営者にあるのではなく、地場産業の生産性が悪いからであります。さらに、言及するならば、行政が地場産業の生産性を改善するための、効果的な政策の立案と実行を怠ったためか、又は、それに代わるべき基幹産業を育てていなかったからであります。
では、何故、市内企業に勤める従業員の年収が低いにもかかわらず、市民の所得が、東濃6市の中で、可児市に次いで高いのか、という疑問が湧きます。この原因は、新住民と呼ばれる新興住宅団地に住む市民が、愛知県の企業に就職し、そこから全国平均の年収を獲得していること、市内には建設省を初めとする公官庁や、銀行や保険などの会社が多く、そこから全国平均の年収を獲得しているからであります。そして、その構図は、後で述べる市の法人税や個人税などの税収構造が、端的に証明しています。つまり、多治見市の構図は、自らの産業で生計を立てているのではなく、新住民が愛知県への出稼ぎで稼いだお金と、官庁や本社を東京にもつ大手会社の従業員が稼いだお金を、基礎として運営されているのであります。ここに、多治見市は名古屋圏の衛星都市であり、消費都市という性格をもつ住宅都市であるという根拠があります。

次に、多治見市の地場産業であり、基幹産業である陶磁器産業の現状について述べます。3ページから5ページまでは、多治見と笠原の陶磁器の生産販売実績を、昭和40年から平成10年までの5年ごとに、地区別と品種別に示したものであります。次の4ページと5ページは、それらのデータを国内と輸出に分けて示したものであります。データを昭和40年から表示したのは、40年代が陶磁器産業の最盛期であると、よくノスタルジアを込めて語られているからであります。ここでは、3ページの図表について、ご説明いたします。左の図表は、陶磁器の生産販売額の実績を、地区別に示したものであります。下のグラフから判ることは、多治見市と笠原町の生産販売額がほぼ同じであること、多治見市の中では多治見地区が他の滝呂、市之倉、高田地区よりも遥かに生産販売額が大きいこと、そして、多治見市の生産販売額のピークは、1990年のバブルのピークにあり、現在の生産販売額は、バブル時の生産販売額よりも、約85億円低下していることが判ります。つまり、地場産業の活性化を目指すとき、昭和40年代の生産販売額を目指すのではなく、平成2年のバブル時の生産販売額との差額である、85億円を、どのようにして回復させ、その水準を上回るかが、一つの目安になります。いま、市長が進めているビジターズ産業は、製販一体型の箱物を中心としたオリベストリート構想が主で、それ以外の基幹産業の振興策はありません。それでは、オリベストリート構想で、陶磁器生産販売額の落ち込み額の85億円をカバーできるかと、反問しますと、まずムリとしか、答えようがありません。例えば、1人のビジターが、オリベストリートに落とすお金を、1日に5,000円と仮定すると、年間に呼び込まなければならないビジターの数は、170万人であります。そして、製販一体型のテナントの稼動日数を、年間250日と仮定すると、1日に呼び込まなければならないビジターの人数は、6,800人であります。陶磁器テーマパークが完成すれば、ここにも集客力があるはずです。しかし、陶磁器テーマパーク構想を策定した、三菱総研の報告書によれば、同様な施設で、投資額も施設規模も大きい、瀬戸市にある愛知県陶磁器資料館の、年間の観客数は6万人であります。同様な施設で、佐賀県にある有田ポーセリンパークの、年間の観客数は60万人であります。因みに、犬山市にある明治村の観客数は、年間に112万人、リトルワールドが62万人、モンキーパークが107万人であります。したがって、製販一体型施設と陶磁器テーマパークをメインとしたオリベストリート構想で、年間に170万人の観客を呼び込むことは、不可能に近いことは明らかであります。
したがって、オリベストリート構想を中心としたビジターズ産業は、陶磁器産業の85億円の落ち込みを回復するための活性化策とはなり得ないのであります。とは言えども、現状では、それに代わるべき活性化策が見当たりませんので、長期的な運営面で、行財政の足を引っ張らないという条件つきで、ないよりはましの政策であると、私は考えています。代わるべき活性化策の立案については、後で述べます。
3ページの右の図表は、岐陶連全体の生産販売額を、品種別にグラフに示したものであります。グラフから判るように、90年以降に落ち込んでいる品種は、タイルと洋食器であり、和食器や電気用品、その他は落ち込んでいません。タイルの落ち込みは、バブルの崩壊と公共投資の縮減によるもので、洋食器の落ち込みは、円高と人件費による輸出の落ち込みが原因で、いずれも構造的なものが要因であり、業界だけの創意・工夫では、回復が難しいものであります。しかし、バブルの崩壊にもかかわらず和食器は、さほど落ち込んでおらず、その他の品種も落ち込んでいないことから、一部で囁かれている需要が飽和したために、生産販売額が落ち込んだのであるという説は、的を得ていません。生活者には、和食器を初めとする、陶磁器に対する根強い需要があり、消費マインドを喚起する製品の開発や、それらの商品を安く容易に入手できる、流通市場が開発されれば、陶磁器生産販売額は、飛躍的に伸びるものと考えています。
さらに、かって西洋においてジャポニズム文化が流行したように、寿司を初めとするヘルシー食品で、日本の食文化を輸出することができれば、単調な西洋人の食文化を一変させて、和食器の輸出も可能であると考えています。4ページと5ページの資料は、これらのバックデータで、ここでの説明は割愛いたします。次に、市が市民に対して行う、行政サービスの量と質について考察します。6ページの表は、多治見市の行政サービスを、東濃の6市、及び類団と比較したものであります。多治見市は他の都市に比較して、福祉と教育部門が充実していると言われていますが、残念ながら、そのようなソフト事業を、比較する資料が見つかりません。左の表は多治見市の客観的な姿を把握しようとして作成したデータであります。個々の項目について、説明する時間的な余裕はありませんが、表から、多治見市の特徴は、市の財政規模が小さく、貯金も少ないにもかかわらず、職員の数が多く、年収も多く、その結果、経常収支比率が高い。経済状態は工業の出荷額は少ないが、商業の販売額が多く、市内従業者の所得は低いが、市民全体の所得が高く、商業地、住宅地と問わず地価が高い。市民1人当りの土木費が少なく、道度改良率も低いが、下水道普及率が高く、1人当りの公園面積は広い。また、1人当りのベッド数と医者の数は多いが、この時点での特養定員数が少なく、ごみの排出量が多い街である、ということができる。ただし、この表は様々な資料をベースに作成しているため、また、各都市によって方針が異なるために、一概に同列で比較ができず、1つの目安であることを、お断りいたします。

右の表は、このような弊害をなくすために、同一の基準で、多治見市と類団のV―4を比較したものです。ここでも、個々の項目について説明する余裕はありませんが、多治見市の特徴は、建設関係では、道路改良率は悪いが舗装率が良い。そして、公園の面積が広く、公営住宅も多い。福祉関係では、保育所の施設充足率や定員充足率は良いが、職員1人当りの定員が多く、老人福祉の施設全体の充足率、特に老人ホームの充足率が高いが、定員1人当りの面積が狭い。教育関係では、幼稚園の施設充足率は良く、教員1人当りの園児の数も少ないが、園児1人当りの面積が狭い。小学校の校舎が不足している学校が多く、1人当りの校舎の面積も狭い。中学校の危険校舎の数も面積の比率も高く、校舎が不足しており面積も狭い。その他では、野球場が多く、面積も広いが、プールが少なく面積も狭い、ということができる。これらの表から、各項目ごとに過不足が認められるが、全体的に多治見市が類団に比較して、公共施設の整備が良いとはいえない。つまり、市民は他の都市と、基本的に同じ税金を支払いながらも、市民が享受する社会資本、すなわちストックとしての行政サービスが少ないようである。そのことは、次の7ページの左側の表からも明らかであります。左側の表は、県下14市の財政力と部門別歳出を、市民1人当たりに換算し、比較したものであります。多治見市は一番右上の表でありますが、左側の項目の内、民生費、商工費、土木費、教育費のいずれを見ても、多治見市の市民1人当たりの歳出は、他の都市よりも少ないのであります。つまり、財政規模が小さいのであります。

右側のページの表は、岐阜県下14市の財政規模と税収の、経年ごとの変化を、表に現したものであります。表は入手可能な資料を基に、昭和50年度から平成9年度まのデータを、ほぼ5年毎に示してあります。左上から右に、財政規模、税収総額、個人税、法人税、固定資産税と表示してありますが、これらの表から、税収の総額が年と伴に変化しているにもかかわらず、市の財政規模は一貫して低い順位にあります。また、税収の内、個人税は常に3位から5位あたりにあるにもかかわらず、法人税は年と伴に、3位から12位に、固定資産税も4位から14位の最下位になりました。つまり、現在の多治見市の税収構造は、前述したように、企業からは殆ど期待できず、個人税に依拠していることが判ります。これでは都市の財政力を高めることはできません。したがって、都市の財政力を高めて、市の標準財政規模を大きくし、市民が受ける行政サービスを、他の都市と同じ程度まで、あるいはそれ以上の行政サービスを享受するためには、市内産業の活性化以外に方策はありません。ただし、昭和50年代の多治見市のように、税収総額が増大しても、必ずしも財政規模が大きくなるとは限りません。恵那市や中津川市のように、国政レベルでの政治力を駆使するか、美濃市や瑞浪市のように、市の職員が工夫するしかないのであります。そのような観点からみると、多治見市は基幹産業が衰退しているにもかかわらず、それを活性化するための街のリーダがおらず、かつ市職員の工夫も足りないと、私は思います。


以上が、この1年間の分析に基づく、私なりの多治見市の総括であります。このような総括から、5次総の素案を精査しますと、素案は、多治見市の客観的な姿を把握していないばかりか、現在、市が抱える基本的、かつ構造的な問題点を、理解しているようには思えません。少なくとも、素案になければならない、10年後の多治見市を、このようにしたいというメッセージが伝わってこない。その意味で、私は、この5次総の素案には、「市民の夢」が描けないと考えています。

そのような観点から、以下に,具体的な質問を行います。

1. 「市民の鼓動が響くまち」という将来像は、具体的にどんな街か。また、それは何によって進行管理をするのか。という質問であります。私は、この「市民の鼓動が響くまち」というのは、中央の官僚が言い出している「行政と市民の対話」のことではないかと推測しています。もし、そうであるのならば、5次総の目的は、市職員の目的であって、市民の目的ではありません。5次総の目的は、やはり市民生活を、経済的にも、精神的にも向上させるべき、夢の持てるものであるべき、と考えています。

2. 視点別施策の、相対的重要度と施工優先順位は、どのようか。また、縦糸に当る部門別施策をなくした、理由は何にか、という質問であります。4次総の後期計画を立案した時、この視点別施策という用語が初めて登場し、その時の市長の説明によれば、従来の部門別施策を縦糸に例えるならば、視点別施策は横糸に当るものである、との説明でありました。私には、この視点別施策なりものが、まだ良く判らないので、その重要度や優先順位が判らないのですが、何故、縦糸に当たる部門別施策なくされたのでしょうか。

3. 西寺市長が提唱する、「生活の質を高める」とは、具体的に、何をどうしょうとしているのか、という質問であります。事前に、5次総策定事務局に「生活の質とは何か」という質問をしたところ、生活の質とは、産業基盤や都市基盤の整備による、経済・機能性の充実、各種行政制度の確立による、安全安心の確保、また、芸術・文化の高揚や、景観・風景の保全と形成、そして市民の自主活動の保障など、広く定義されます。また、生活の質は、個々の置かれている状況によって、異なり、生活の質に対する、絶対的な定義はありません、との回答がありました。難しい用語が沢山並んでいますが、要は、生活の質を高めるとは、経済機能の充実と安全性の確保、及び芸術・文化・景観・風景を守り、市民の自治を、確保しようという意味で、このことは取りも直さず、行政サービスを充実させる、ということと同じ意味であると、理解できるのですが、この言葉と、どこがどう違うのでしょうか、という質問でもあります。

4. 目指す都市像は、観光都市か、住宅都市か、産業都市か、研究学園都市か、それともその他の都市なのか、具体的に示して下さい。前述の私なりの総括で述べたように、素案からは10年後に、このような街にしたいという意欲的なメッセージが伝わってきません。しかも、市民の鼓動が響く街や、視点別施策や、生活の質や、ビジターズ産業などの、なんとなく判ったような気分になるが、しかし良く判らない用語が多用されているため、改めて、目指す都市像を、具体的に示していただきたく、質問したものであります。

5. 次の項目に対する総括と方針が見当たりません。どのように評価しているのですか。
@ 市民の所得が低い。A地場産業が停滞している。B社会資本の整備が良くない。C市の財政規模が小さい。
これらの項目に対する、私なりの総括は前述したとおりでありますが、執行部の見解をお聞かせください。

6. 首都機能が移転された場合の対応と方針について、お答えください。首都機能の候補地が、この12月にも決定されます。候補地が決定したからといって、首都機能が誘致されるとは限らないのでありますが、誘致するための同盟会の会長職を預かる多治見市の長期計画案に、一言も言及していないのは、やはり問題であります。来るか来ないかも判らないものに、労力を費やすことを避けようとする気持ちは、理解できます。しかし、ひとたび首都機能が来るとなれば、多治見市の根幹を揺るがす問題であり、当然、5次総は改定されます。来た場合と、来ない場合の2つのケースについて、せめて心構えと、対処の仕方、及び基本方針が必要であると考えます。
繰り返しますが、同盟会の会長の職にある、市の長期計画に、首都機能のことが一言も書かれていなければ、他の都市から、多治見市は、本気で誘致する気持ちがないのだと、評価されてしまう恐れがあります。また、首都機能誘致の機運を、市民の中で高めるためにも、5次総の中で言及すべきと、考えますがどのようにお考えでしょうか。

 

 

 

次に、大きく2つ目の「地場産業発展のために大学の創設を」と題して、質問を行います。
これまでの質問は、現状の多治見市の総括に、関する質問でありますが、これからの質問は方針と、政策立案に関する質問であります。

私は総括の中で、陶磁器産業を活性化させるための、代替案がない場合は、長期的に市行政の足を引っ張らないという条件下で、オリベストリート構想に消極的に賛成であると述べました。そして、陶磁器産業は、生活者に根強い需要があり、消費マインドを喚起するような製品の開発と、その商品を安く、かつ容易に入手できる市場と、流通経路を開発すれば、活性化が可能であると言いました。さらに、工夫をすれば、和食器の輸出も可能であるとも言いました。しかし、これらの事柄をさらに深めて、陶磁器産業の長期・短期の戦略と戦術を立案し、かつ、それらを行政の政策とするには、専門のシンクタンクが必要であります。そして、むしろ、岐阜県の代表的な産業である、陶磁器産業のためのシンクタンクが、どこにもない方が、異常であります。このため、私は陶磁器産業のためのシンクタンクとして大学が必要である、と考えています。
大学を創設しなければならない、もう1つの動機は後継者問題であります。陶磁器産業界が後継者難で困っているという話を良く聞きます。窯業科関係を卒業する高校生の数は、1学年で、多治見工業高校と、瀬戸窯業高等学校を合わせると、360人です。しかし、その卒業生を受け入れる大学は、地元になく、わずかに意匠研究所と、2つの工業高校の専攻科を合わせて、80人と大変少ないのであります。窯業関係の高校を卒業し、さらに専門の大学に行きたくとも、行けるところは、一般教養課程をもたない、将来の選択肢が極めて限定された、専攻科しかなければ、卒業生は窯業と無縁の潰しの利く大学に行くのは、ごく自然の選択であります。したがって、360人の卒業生の受け皿としての、大学が必要であります。1学年が1000人もの総合大学は必要ありませんし、潜在的な学生の数から見て、1学年が100名の専門大学、教職員も入れて、約500人程度の大学を創設することは、そんなに難しい事業ではありません。事実、私は既に、ある私立大学に、この構想を相談していますが、その大学からも、そんなに難しい事業ではないし、大学創立のための協力を、惜しみませんとの話をいただきました。さらに追加して、大学を創設しなければならない動機があります。5次総の素案の中で、市の意匠研究所は規模を縮小し、教育機関に特化することになっています。いくら研究成果が上がらないからといって、陶磁器産業の宝である、意匠研究所の研究開発を休止し、教育機関に特化することに、私は反対であります。確かに、多治見市には、意匠研究所と類似する機関、例えば旧県・陶磁器試験所、県・陶磁器資料館、工業高校の専攻科、名古屋工業大学のセラミックス研究所などが、多いのであります。しかし、これらの研究・教育機関は、全て供給者側の論理で、設立された機関であります。1つの産業が、供給側と需要側と流通側の、3つの分野から成り立つと考えれば、これらの機関に、需要者側の論理や、流通側の論理を研究開発する機関が必要なことは、明らかです。しかも、前述した既存の研究機関は、それぞれ完全に独立していて、それぞれの役割分担を明確にし、効果的かつ有機的に結合して、相乗効果を発揮させようという試みと努力は、全くと言って良いほど見られません。これこそが無駄というものではないでしょうか。極端な発想ですが、県の協力さえ得られれば、私はこれらの機関の施設と職員を、1個所に集めるだけで、1つの大学が出来てしまうと考えています。全国では、人口が5,6万人の都市でも、大学が1つや2つが出来る時代であります。1学年が100人程度の大学を創設する事業は、市民が一丸となって取り組めば、さほど難しい事業ではないと考えています。
そのような観点から、質問を行います。

1.昭和61年に立案された「美濃焼きセラミックス大学校」の構想は、何故、実現できなかったのかを、お尋ねいたします。
本構想は、当時の籠橋久衛・岐陶連・会長が、委員長を務める、岐阜県窯業学校設置促進委員会が立案したもので、委員会のメンバーの中には、多治見市の職員も参加しています。察するに、恐らく陶磁器産業界の総力をあげて策定した構想ではないかと思われますが、この構想が実現しなかった原因を、私が調べた範囲では、誰も知らないのであります。

2. 地場産業発展のための需要と供給、及び流通の総括と方針はどのようか、お尋ねいたします。質問の主旨は既に述べました。

3. 意匠研究所について、次の3つの質問を行います。

@ 教育機関に規模を縮小し、特化するのであれば、どのような者を対象に、どのような教育を行うのでしょうか。

A 何故、研究開発行為を中止されるのでしょうか。また、研究所の名称は変更されるのでしょうか。

B 現有する研究開発のための経営資源、例えば、人材や設備などは、今後,どのようにされるのでしょうか。

4. 大学の創設について、次の3つの質問を行います。大学の構想は、2つの資料として、事前に配布してあります。構想の主旨は、今までに述べたものと同じであります。

@ 市は大学の創設について、どのように評価しておられるのでしょうか。

A 大学の創設に、県の協力が得られる可能性はどのようなものでしょうか。

B 大学創設に対する障害には、どのようなものがあるのでしょうか。

 

 

 

 次に、大きく3つ目の「廃棄物行政について」質問を行います。

事前に通告した質問の内、焼却炉の国庫補助金と業者の競争入札に関する質問、及び、最終処分場の委員会設置と容量に関する質問は、昨日の答弁にありましたので、この度の回答は不要であります。それでは、質問は、項目を簡単に述べるに止めます。

1. ごみ焼却炉について、次の2つの質問を行います。

 @ 今年、行った環境影響調査の結果は、どうだったのでしょうか。
 A コークスベッド直接溶融炉は、埋め立て済みの廃棄物を、再処理することができるとのことでありますが、大畑センターの、廃棄物の再処理を行う予定はありますか。

2. 最終処分場について、次の2つの質問を行います。
 @ 処分場整備の、タイムスケジュールはどのようになっていますか。
 A 空白期間の対策は、何時から始める予定ですか。

以上で、1回目の質問を終わります。

 

 

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